たかびっちの日記

思ったことをダラダラと。巳年っぽいブログでございます。

なぜ会社をやるのか?


こんにちは。

最近めっきり寒くなってきて、帰りにおでん屋台などに寄って帰ることが多くなった。僕だけかもしれないけど、一人で一杯ひっかけて帰る日が多いだけ、冬の方が色んなことを改めて考える機会も多い。

先日、以前からお世話になっている某ITベンチャー企業の社長に相談できる機会を頂いたので、2時間近くサシでお話をさせてもらった。その時の話を少し。

最近、自分自身やうちの会社も含めて今後の展開について悩んでいる。

まがいなりにも24歳で起業し、のらりくらりとやってきて気付けば3期目も後半に差し掛かった。
何か大きい仕事をしたいとか、やりたい事業を見つけて没頭したいとか、月並みなことを思いながらも見出せないまま小規模でやってきた。
ここまで小さいなりに様々な問題も起こったし、撤退やピボットも繰り返しながら何とかやっている。

そんな中、最近になって良い人材がチラホラとうちに興味を示してくれていて、何故うちなんかに興味があるのか理解に苦しみながらも真剣に採用を検討することにした。
そこで冒頭で述べた先輩経営者へ相談となったわけである。

事業は増員によりすぐ拡大できるモデルではないため、人を雇うならば新たな仕事が必要であり、事業創出を考えなければならない。
ある程度ストックしていたビジネスモデルを片手に、
『営業組織構築についてアドバイスを…』
なんて内容で、早く言えば数年で組織を順調に拡大させている先輩のやり方をトレースさせて頂こうと思ったのだ。

しばらく意気揚々と新しいビジネスモデルについて語り、それではそろそろアドバイスを…と思ったところで返ってきた言葉が意外なものだった。

先輩『その前にまず、お前は何故会社をやってるの?』

すごくシンプルな質問だし、自分でもそんなことは考え尽くしてきたから言葉に詰まる事はなかったが、僕の返答はこうだった。
『えーと、雇われたくないからです。お金や名誉に興味はないけど、嫌なことはしたくないし。』

正直それでじゅうぶんな理由だと思ってたし、それ以上深掘りして考えたこともない。だからこそ、その質問にはじめは違和感を感じた。

先輩は先日アメリカで、数年で自らが立ち上げた会社を時価総額1000億円まで成長させたハリウッド女優のジェシカアルバ(可愛いよね〜)の講演を聞いて、
『自分がその事業をやる理由』『自分にしかできないこと』
これらの強みや重要性を再認識したそうである。皆がそうである必要はないし、先輩自身後付けでビジョンや目標ができたそうだが。

もちろん僕も、強烈なパッションを持ったリーダーや明確なビションがある会社に魅力があることは理解している。
「日本を代表する企業を目指す!」「時価総額○○兆円へ!」「砂糖水なんか作ってないで世界を変えてみないか?」
など、もし身近に言ってる奴がいたら正気か疑いたくなるようなセリフであっても、強い情熱を持っている人は寄ってくるだろう。
事実、結果として国や世界を代表する企業へと成長を遂げている。
残念ながら僕にはそのような強烈なパッションもなければ、砂糖水を作る会社に入社することさえできない野良起業家だ。

『それは分かってます。でも、やっぱり焦るじゃないですか。パッションもやりたい仕事もないけど、何かやらなくちゃって。』

先輩『やりたい事もないし、お金が目的でもない。行動の源泉が何なのか見えないから、一体何に焦ってるのかが分からないよ。』

この辺から、僕の頭はぐるぐる回る。
その他に事業を通じた社会的意義についてや、具体的な組織運営についても沢山お話頂いて非常に参考になったのだけど、前述の部分がどうしてもクリアにならなかったのだ。

以前から人一倍プライドの高かった僕は、起業を決めてからというもの、くだらないプライドは捨てることを意識して生きてきた。
”人にどう思われるか” ”どう見せたいか”この部分が、息苦しさを招き、迎合を覚え、自分自身を見失っていく根源だと思っているからである。

今では過剰な物欲、征服欲、承認欲求、それらを満たす為の金銭欲などから大部分は解放され、ストレスフリーに近い生活を送っている。
そしてそれを継続させるための手段としての
"起業"であり"経営者"なのである。

先輩の会社を後にして、屋台でおでんを食べながら、それじゃダメなのかな〜なんて考えていた瞬間、ハッとした。

どうやら僕は、会社と、社長である僕個人を完全に混同させて考えていたようだ。

僕がどのような考えでどう生きていこうが、言ってしまえば僕の勝手だ。
だけど、会社はもちろん別人格であるべきで、いくら自己実現のための手段として会社を利用しようとも、会社自体にはしっかりと目的を持たせなければならない。
何かの価値を提供し、それの対価を得て成長し、目的や意義があるからこそ、存続する。

仮に僕に猛烈なお金への執着などがあれば、それを行動の源泉として会社を経営すればいいし、混同して考えても悪い事はない。
むしろ非上場で、豪腕の創業社長が率いているような所謂ワンマン経営の企業であれば、混同しているほど推進力や統率力は高く、それで上手くいっているケースはよく見かける。
僕がお金を稼ぐ事だけが目的でやるならば、まず行う事業は必然的に限られてきて、下請け構造の業界のお偉いさんに取り入っておいしいポジションに潜り込むか、前職のキャリアやノウハウ、人脈を活かして比較的楽で固く起業する道を選択しただろう。

あるいは崇高なビジョンや強烈なパッションがあれば悩むことはない。失敗を恐れる心も持たずに、信じた道をトライアンドエラーで突き進むだけだ。

残念ながら両者とも僕には当て嵌まらず、ただただ
「嫌な事したくないけど、いつか何かを成し遂げたい」
という理由で起業して、ここまで来た。
その状態で会社と自分を混同して考えてしまっていたならば、まともに事業の展開などできたもんじゃない。

先輩はこれら全てを初めから見透かしていて、最初の質問を投げかけたのだろう。

これから、雇用と新事業の展開の是非を含め、自分自身と会社でしっかりと目標設定をしようと思う。それがお金か、やり甲斐か、はたまた他のものなのかはさておきだ。

この「嫌な事したくない」
「やりたい事が見つからないが何か成し遂げたい」
問題を抱えてる人は多いと思うが、先輩が言うように、ビジョンやパッションなしに起業するのはおすすめしない。
どうしても起業するならば、せめて綺麗事はやめて、とにかくお金を稼ぎまくるという目標を掲げて自身も会社も頑張るといいのでは。

さて、今日で11月も最後。
「師走」の文字通り、12月は普段走らない僕が汗を流して走り回り頑張ってみるのもいいかもしれませんね。
まあ今日は屋台でおでんでも食べながら気楽に過ごすとします。

それではまた。